老化に由来する寿命の個体差の約50%が遺伝!

Science(2026;391:504–10.)に衝撃的な論文が出ました。今まで、「寿命を規定する因子の75%は環境要因(後天的因子)で、25%が遺伝的要因(幅があり6%〜30%)」というのが抗加齢医学の通説だったのですが、これからは言い方を変えないといけなくなりました。
この論文は、それが 正確な数字ではない可能性 を指摘しています。この研究のポイントは、「本当の遺伝の影響」を分けて考えたところにあります。人の死に影響する要素には、大きく2種類があります。

①外的要因(extrinsic mortality):事故・感染症・災害など、遺伝と無関係に起こる外部の出来事による死
②内的要因(intrinsic mortality):老化・遺伝的な病気など内部の生物学的プロセスによって起こる死

これまでは 外的要因も含めて一緒に計算していたため、「遺伝の影響が小さい」ように見えてしまっていたということがこの研究のノイエスになるわけです。
ここで大事なのは、「遺伝が強い=何をしても無駄」ではないという点です。遺伝子は、いわば「老化しやすさ・老けやすさの初期設定」を決めているにすぎません。一方で、
・抗酸化
・抗糖化
・抗炎症
・免疫機能を保つ生活
・腸内環境を整えること
・運動、栄養、睡眠、環境
といったライフスタイルや医療介入は、老化のスピードそのものを遅らせる力を持っています。
つまり――

◎遺伝は「設計図」
◎ライフスタイルは「使い方」

同じ設計図を持っていても、どう使うかで結果は大きく変わる、ということです。そして、ここからがとても重要なポイント。

「One size fits all(全員同じ)のアンチエイジング」は非科学的という時代に、はっきり入ったということです。老化の進み方は人それぞれ。遺伝的背景も、酸化・糖化・炎症の状態もひとりひとり違うのに、全員に同じサプリ、同じ治療、同じ生活指導をするのは、もはや科学とは言えません。
これからのアンチエイジング医学で大切なのは、「どれをやるか」よりも「誰に、何を、どの順番でやるか」!

老化は運命ではありません。でも、個別に向き合わなければ、コントロールできない現象なのです。だからこそ、「測る」「知る」「自分に合った対策を選ぶ」ことが、これまで以上に重要になってきます。
美容内科の時代が来た!

青木 晃

Aoki Akira

一般社団法人日本美容内科学会 理事長

関連コラム