第3の美容 ― 美容内科が拓く次世代の美学

これまで美容医療の主軸といえば、「美容外科」と「美容皮膚科」でした。

外科的施術による構造的な変化、そして皮膚科学的アプローチによる質感やトーンの改善。これらは“見た目の美”を追求する上で確固たる地位を築いてきました。しかし近年、その両者の間を補完し、さらには新たな次元の「内側からの美」を実現する領域として、「美容内科」が急速に注目を集めています。

美容内科とは、単なる栄養療法や点滴治療にとどまらず、ホルモン、代謝、免疫、さらにはマイクロバイオーム(腸内環境)やエピジェネティクス(遺伝子発現調節)といった身体の根幹機能にアプローチする医療です。

つまり、皮膚や筋肉の“見える変化”を支える「生命活動の質」を整えることが、美容内科の本質と言えます。

たとえば、慢性的な炎症やホルモンバランスの乱れ、糖化・酸化ストレスなどは、外見的な老化サインの背景に潜む重要な因子です。美容内科は、これらを分子レベルで評価し、サプリメント、ホルモン補充療法、再生医療、そしてライフスタイル改善を統合することで、より根源的な「若さ」と「美しさ」を実現します。

近年のトレンドとして、Functional Medicine(機能性医学)やLongevity Medicine(長寿医療)との融合も進み、外見の改善から“健康美”への価値シフトが起こっています。

美はもはや「結果」ではなく、「生きる力の表れ」として捉えられつつあるのです。

さらに、AIやゲノム解析、エピジェネティッククロックなどの技術進歩により、美容内科はより客観的かつ個別化された医療へと進化しています。患者一人ひとりの生物学的年齢や代謝プロファイルに基づき、最適な治療や栄養・運動プログラムを設計する時代が到来しました。

美容外科が「形」を創り、美容皮膚科が「質」を整えるとすれば、美容内科は「根」を再生する医療です。

三位一体の美容医療が確立されることで、外面と内面、短期的効果と長期的健康が矛盾なく共存する“統合美”の時代が始まっているのです。

“美しく生きる”という人類の普遍的な願いに対し、美容内科は今、医学的な答えを提示しようとしています。

この新たな潮流は、美容医療を「外見の再構築」から「生命の最適化」へと導く、第3の美容の夜明けとなるでしょう。

堀田 和亮

Hotta Kazuaki

医療法人社団 SMILE LAND BIANCA CLINIC 理事⻑

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